ダイソーのベイトリール『AI-2000』購入&カスタム

リール

2025年5月中旬、ダイソーが税抜1,000円のベイトリール『AI-2000』を発売しました。

ベイトリールとしては超低価格で、外国のECサイト以外でこの値段のものは見たことがありません。

果たして実際に使えるのか、早速買って試投してきました。

このベイトリール、発売直後から多くの人が購入した様子で、発売から数日しか経っていませんがインプレがたくさんあがっています。

既にインプレは見飽きたという人もいると思いますが、筆者は、

・もともとベイトリール派
・普段から安価なベイトリールを中心に使っている
・右巻き
・主に使用するのは100均ジグ

ですので、これまでのインプレとは意見が違うかもしれません。

果たして『AI-2000』は買いなのか、筆者の使用シーン(ソルトショアジギング)を踏まえて、ちょっと厳しい目でチェックした結果をお伝えしようと思います。

なお、本記事の内容はあくまで執筆時点の感想であり、今後変更する可能性がありますのでご容赦ください(2025.5.27更新)。

外観

まずは外観から見ていきましょう。

良く見るとハンドルのフレームにデコボコや、ボディのパーツとパーツの間のいたるところに隙間が見えます。

商品名の由来が気になります。

ど真ん中の星形のピンに何の意味があるのだろう…と思っていたら外径約9.8mm×厚み約3.8mmの黒色のブッシュが入っていました(教えてくれた方、ありがとうございます)

商品タグにスプール軸受ブッシュサイズ内径約3mm×外径約10mm×厚さ約4mmと記載がありますが、内径3mmのベアリングで試したところ、シャフトが通りませんでした。内径4mmなら通ると思いますが…。

外径10mm×厚さ4mmはぴったり↑↑だが、内径3mmだとスプール軸の太さに合わない。

ギヤ側はこんな感じ↓で、ギヤボックスを開けるには内側上部に見えるビスを1つ外さないといけません。

レベルワインダーのグリスは適量でした↓↓。

総重量は…

なんとぴったり200g。

ベアリングのグリスが多すぎ↑↑

ベアリング込みスプール重量はぴったり22g。一般的なスプールより重めです。

触ってみて

ハンドルノブはガタツキがありますが、だからといって釣果に支障出るほどでもありません。片方のノブはキュルキュルと音がします。

なお、ノブは交換出来ないタイプのようです。

シルバーのパーツは腐食しそうな印象↓↓

スタードラグは回すとカチカチと鳴る!

ならない場合は、スタードラグを回してもちゃんと閉められているか不安になることがないので良いポイントです。

クラッチ音は大きいです。可動部にグリスが塗られていますが、開閉による耐久性はどうでしょうか。

マグネットが多い!テストの結果辿り着いた数なのか、それとも…。

スプールの外径は約37mmであり同じサイズの他のベイトリールと比較すると大きい。

スプールの光り方から想像すると作りがきれいとは言えないので、スプールシャフトの強度は心配。

全体を見る中で、特に気になったのはリールフットに残っているバリ。

リールシートを削ったり傷つけそうなので後でヤスリで削っておいた方が良さそう。

他の箇所のバリも気になるという声もありました。

試投に向けてフロロカーボンラインを巻きました。

テンションがかかった状態でも巻き感に違和感は感じず、スプールへの巻取りも左右への偏りはなく、巻き上げ力も問題なし。

16lbを80mがちょうど良さそう。

本来はラインをスプールへ馴染ませるために釣行数日前に巻きますが、今回は巻いてすぐ釣り場へ。

試投

使い慣れた7フィートのロッド、ダイソーのメタルジグフラット18gで試投しました。

メカニカルブレーキはゼロポジションから少しきつめにし、マグネットブレーキをMAXから徐々に弱めていきます。

強い横風の状況でオーバーハンドやサイドハンド、バックハンド等いろいろ試したところ、ダイヤル10でバックラッシュし始めます。

結果として、ダイヤルはMAX~11までの設定が良かったです。

18gのジグを使う場合、ブレーキは強めでOKです。

10~MINまでが使えていないので、18gのジグはこのリールの想定ウエイトに対して重い印象です。

ブレーキの効きの弱さとともに気になったのがキャスト音。

ブレーキをより効かせる方法、スプールの回転を安定させる方法、この2つが大きな課題と認識して試投を終了しました。

分解

試投のときから早く中を見てみたいと楽しみにしていました。

外側から見たところ特殊な工程はなさそうだったため、最低限の道具を用意して分解開始です。

スタードラグを回すと鳴る正体です↑↑

一般的なベイトリールと比べても特段難しいものはなさそうです↑↑

ギヤとドラグの素材はなんでしょう。ギヤは触った感じ脆そうです。腐食耐性も気になるところ。ドラグは乾式。

こちらも素材(耐久性)が気になる↑↑

「2+1」は何を指しているのか調査中。

一般的に、後半の1がローラーベアリングを指すことを踏まえると、前半の2はベアリングが2つあることを示すはず。

しかし、ベアリングはスプールについている1つしか見当たらない。

仮にスプールのベアリングとローラーベアリングを前半の2と考えると、後半の1はなにか。

ダイソー独自の表記なのか。今まで解くのが一番難しい「2+1」。

全体的な機構で特徴的なものはありませんでしたが、ギヤの素材(耐久性)は気になりますね。

結論

ここまで見てきて、ダイソーの『AI-2000』は買いなのかということですが、個人的にはデフォルト(買った状態)のままではおススメしづらいというのが結論です。

税抜1,000円という値段はとても安く、初めての人がベイトリールに触れるハードルを下げたことは評価できますが、試投した正直な感想としては扱いが難しすぎます。

試投はジグ×フロロカーボンで行ったため、プラグやワーム×PEラインよりも投げやすいはずでした。

しかし、1回目の試投でこれは調整しても厳しいかもと感じるレベルでしたので、初心者の方は初めての釣行で再起不能なバックラッシュが起こってしまう可能性もあります。

また、マグネット交換、パーミングカップのブッシュをベアリングへ交換し、メカニカルブレーキ部にベアリングを追加した状態で試投したところ、かなり改善しましたが、総合的な評価は変わりません。

せっかくベイトリールを手に取るハードルを下げたのに、このリールを使ったがためにベイトリールを難しく感じ、使い続けるハードルを上げてしまわないか心配です。

税抜1,000円という破格の値段でベイトリールを発売されたのは企業努力の賜物ですが、もう少し性能を詰めて欲しかったです。

ただ、扱いが難しいと感じたのは筆者だけかもしれませんので、即購入しなければならない人でなければ、現時点で『AI-2000』を高評価している人が、釣れるか釣れないかはもちろんのこと、その後も継続して使用しているか追っていくと良いでしょう。

ネタで買った人のインプレはそもそもあてになりませんが、ちゃんと使おうと思って購入した人が数か月経っても使い続けていれば、実釣に耐えうるリールだということです。

筆者がベイトリールを初めて購入した当時、ボートでの落とし込みのような用途が主流だったこともあり、ルアーキャスティングで使うとトラブルばかりでした。

それでも苦労してキャストした経験は、もしかしたら良い経験になっているかもしれませんが、もし当時性能の良いリールを使っていたら、もっと上達は早かっただろうと思います。

ですので、初めてベイトリールを買おうかと悩んでいる人は、出来れば他の性能の良いベイトリールを購入した方が良いと思います。

3つのカスタム

しかし、どうしても『AI-2000』を使いたいという場合、どうしたら良さそうかいろいろ試してみました。

その結果、3つのカスタムに落ち着きました。

一つ目はマグネットの交換です。

『AI-2000』には、厚さ1.2mm×径5mm程度のマグネットが10個ついています。

うち4つをこれを同じサイズ(ダイヤル調整で誤魔化せそうなので厚みは多少変動可)で、より強力なものに交換しました。

筆者は家の在庫を使ったので改めて購入していませんが、Amazonでざっと見たところ1,000円あれば買えそうです。

次に、メカニカルブレーキにベアリングを追加しました。

回転への影響は感じませんでしたが、スプールが暴れたときの保険として、また、デフォルトの状態ではメカニカルブレーキがずいぶんと奥まで閉まってしまうため、それを抑える役目はあると思います。

サイズは内径3mm×外径8mm×幅3mmで大丈夫でしたが、内径3mm×外径8mm×幅2.5mmの方がより良いと思います↓↓

最後に、パーミングカップのブッシュをベアリングへの交換です。

ここが最大の難問です。

タグにはスプール軸受ブッシュサイズ内径約3mm×外径約10mm×厚さ約4mmと記載があり、素直な消費者はこぞって内径3mmのベアリングへ交換します。

そして全員「入らない」という状況に陥り、ざわざわしだします。

測ってみるとスプール軸が3mm超あるので、内径3mmのベアリングが入らないのです。

タグには「スプール軸受ブッシュサイズ内径約3mm×外径約10mm×厚さ約4mm」と書いてあるので、3mm超でも間違いではありません。

釣り具メーカーがやったらクレーム間違いなしですが、100均ユーザーはなぜかこれを受け入れてしまう。

ここで内径約3mmのベアリングでも発売してくれれば面白いのですが、ダイソーは決してふざけてやっていないので、そういうことはないと思います。

で、この問題を解決するために先駆者はいろいろと工夫をしているのですが、筆者はベアリング交換のみで済ませました。

理想のサイズは内径3.175mm×外径10mm×厚さ4mmですが、内径3.175mm×外径9.525mm×厚さ3.967mmまたは内径4mm×外径10mm×厚さ4mmのものしか見あたりません。

両方のサイズのベアリングを購入し、まず前者(内径3.175mm×外径9.525mm×厚さ3.967mm)で試してみたところ、キャスト時のスプール回転音が大幅に軽減されました。

もともと入っているブッシュも外径が合っていないので、ジャストサイズではないけれどこれで妥協しました。

というのも、3つの調整により、キャスト時の異音とスプール回転の安定性は向上したのですが、前回感じなかったハンドルを巻いたときのゴリ感が発生したのです。

これはどこか直せばどこか不具合が生じるの繰り返しになりそうな気がしたので、このリールはそういうものと理解し、ここでカスタムは一旦終了することにしました。

余談ですが、カスタムした後のスプールの回転性能を見るには、実際に使うルアーをキャストしてみた方が良いと思います。

部屋の中で、ラインを巻かずに、カスタム前後で(クラッチ切った)ハンドルの空巻きで回転時間が長くなったという比較検証をたまに見かけますが、使用状況によってその意味は変わるはずです。

例えば、上記のような空巻きの回転速度はキャスト時の回転速度よりも圧倒的に遅いと考えられる(全力で巻いて回収しているときのルアー速度は、キャスト初速時のルアー速度よりも速くならない)ので、上記の状態のスプールの回転時間の比較は、軽量ルアーの最後のひと伸びの参考になるとは思いますが、筆者のようにジグを投げる場合は、トルクをかけて高速回転させたときに支障なく(回転時間も含みますが)回るかの方が重要になります。

まとめになりますが、あくまでルアー用のベイトリールを初めて購入するということであれば、金銭面から見ても、上達の面から見ても、釣り具メーカーのコスパ優秀軍のベイトリールも選択肢に入れて検討してみるのが良いと思います。

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Posted by KEN(運営者)