【2024年企画/第2話】高比重ナイロンラインのテスト
この企画は100均ジグの釣りに最適なナイロンラインを探そうというもので、第1回の前回では、これまでやってきた釣りに近いラインを見つけたものの、同時にいくつかの課題も発見することとなりました。
第2回の今回は、新たに3つのナイロンラインを購入してテストしてきましたのでその報告となります。
比重、伸縮性、しなやかさなど、ナイロンラインとフロロカーボンラインの優劣は前回の記事に記載したとおりですが、実釣してみるとスペック面ではわからないことを知ることが出来ます。
今回の記事は鮮度が高いうちに書いたため感覚的な内容が多く、ピンとこない人もいるかと思いますが、予めご容赦ください。
さて、前回のテストでは、ラインが水面に落ちるまでの速さ、リフト時のラインの水キレの良さ、リフト時のジグアクションの感度、フリーフォール時のラインの弛み、全体的な感度といったことを中心にチェックしました。
前回いくつか比較した中で最も良かったラインでも、感度はフロロカーボンラインに到底及ばないと感じました。
また、キャストやリフト後にラインが空中を漂っている時間が長いので、ラインが落ち着くまで時間がかかり、アタリを逃したり、ラインメンディングが非常に難しいと思いました。
さらに、ナイロンラインの結束強度が強いという点がマイナスに作用することがわかりました。
根掛かりをし、フックを伸ばすことができずにどうしてもラインを切らなくてはいけなくなったことがあったのですが、強く引っ張った場合、フロロであれば結束部分から切れることがほとんどでしたが、ナイロンラインは結束強度が強いため、結束部分でないところから切れてしまいました。
回収したラインの先を触って確認してみると、ざらざらの状態でした。
おそらく岩の間にジグ本体が挟まり、引っ張った際に岩に擦れて出来たものだと思います。
思い返してみると、フロロカーボンラインではラインがざらざらになったことはほとんどありませんでした。
これはフロロカーボンラインは耐摩耗性が強く、結束強度が弱いとされているため、岩に擦れてラインブレイクする前にスイベルとの結束箇所から切れるためと考えられます。
また、根掛かりしたときに使っていたのは低伸度を謳っていたナイロンラインでしたが、フロロのように足を固定して腰のひねりだけで切ることは到底出来ませんでした。
テトラの上だったので、テトラをいくつも移動しながら徐々にラインへの負荷を強めていかなければならず、危険なことだと思いました。
後ろや横にスペースがない釣り場でやむを得ず切ることになった場合に思うように切れない可能性があります。
さらに、ラインが傷んでいる箇所がジグに近いとは限りません。
バックラッシュ等でジグから数十メートル上の部分が傷んでいた場合、スイベルとの結束部分から切れず、傷んだ箇所からラインブレイクすると多くのラインを海中に残してしまうリスクがあると思いました。
また、何投もしていると気づいたのですが、キャスト時にリールから飛ぶ海水の飛沫がフロロカーボンより多い気がします。
これは、フロロカーボンラインよりもナイロンラインの方が吸水率が高いことによるものと思われます。
通常、回収時にガイドがある程度水を切ってくれますが、ナイロンラインはライン自体が保水します。
そのため、キャストでラインがベイトリールのレベルワインダーと接触する際に、ラインに含まれていた海水が霧となって飛散していると考えられます。
リールやロッドに海水がかかればかかるほど、メンテナンスに気をつけなければなりませんし、顔や衣服(特にグローブ)も濡れることになります。
普段やらないことをやると、いろいろと勉強になりますね。
第1回目は「低伸度」に注目して、いくつかナイロンラインを購入してテストしましたが、第2回のテストは「高比重」のラインを購入してテストしました。
復習になりますが、直線引っ張り強度という点においてはナイロンラインの方がフロロカーボンラインよりも強いため、同じ強度でラインの太さを比較すると、ナイロンラインの方が細くなります。
そのため、ルアーの動きは激しくなり、この点は有利なときがあると思いました。
細いナイロンラインの方が風や潮の影響も受けにくいかと思ったのですが、たしかに表面積は小さいのですが、比重と吸水率の関係からか、思ったより風や潮の影響は受けました。
高比重と謳っているナイロンラインでも、軽いと空中をふわふわ漂うので非常にラインメンディングがやりづらく、フロロカーボンラインの操作感には及びませんでした。
また、感度もフロロより悪かったので、着底したタイミングがわかりづらかったです。
着底して時間が経つと根掛かりしやすくなりますし、ヒットチャンスが減るので、着底したら即ボトムをきりたいのですが、これが出来ないのがストレスでした。
港内・外海・磯、横風・追い風・向かい風など、状況を変えてテストし、そのメモは次の通りです。
ラインD:当初撥水性は良いが、次第に保水する。根掛かり時に伸びが少ない。しなかやかさが少なく、他のラインよりフロロに近い。偏光サングラスをしても視認性が悪いのが難点。
ラインE:視認性抜群。しなやかで感度が良くない。しかし、撥水性が最初から良くない。
ラインF:視認性が良くない。AからEのラインと比較して、最もバックラッシュしやすい。ラインの軌道は非常に良い。
ボトム着底後、ハンドルを何巻きかしないと根掛かりがわからないのは致命的かと思っています。
主な原因はラインの感度とラインの膨らみです。
フロロの場合、それほど遠くに投げなければハンドルを一巻きもせずに着底がわかりますが、ナイロンラインでそれがわかるのはテストした商品の半分以下でした。
また、ラインが細くなるとライン同士の摩擦が減ります。
フリーフォール中、スプールのラインが巻かれている周とレベルワインダーが真っすぐのときは、ラインとレベルワインダー、スプール上のラインが他のラインと接触しにくいのですが、スプールのラインが巻かれている周とレベルワインダーがナナメになっているときは、摩擦が発生して手元にゴツゴツと振動が伝わるため、スプールが回転していることを感触として把握することができます。
このスプールが回転する振動が止まったらアタリか着底なのですが、ナイロンラインは径が細いためこの摩擦が少なく振動が弱い。
なお、フォール中のアタリが取れるか取れないかで釣果は変わります。
ジグを丸ごと飲み込んだり、反転して勝手にフッキングするような状況ではアタリに気づかなくても魚は釣れます。
しかし、ついばむような食べ方をしたり、口の小さい魚などは、アタリを取れるか取れないかで釣果は変わります。
フッキングを決めるという点もそうですが、私の場合はアタリを感じたら追い食いをさせるアクションを入れます。
鯛系、小型青物、ホッケ…アタリに気づかなければ釣れなかった魚はたくさんいます。
第2回のテストで確かめたいことは一通り終わり、新規開拓のため漁港巡りをしていたところ、ある漁港の外側に潮通しの良い磯が見えたので行ってみました。
その日は漁港で使うタックルしか持っておらず、テストの後で日が完全に登った時間帯だったため、釣果は期待していませんでした。
その磯は遠めは砂地ですが、そこまでの海中に岩場が点在しており、その岩の上には太い海藻がびっしり生えているような場所です。
遠投するタックルではないので、沈んだ岩の向こうの砂地で3回ほどリフト&フォールして、その後岩にひっかからないように回収というイメージでキャスト。
ナイロンラインでこのタックルだと、岩の海藻の上をリトリーブで、そこについている魚か回遊魚でもヒットしないかな…とちょうど考えた矢先、グッとジグを捕まえるようなアタリ。
あまりにイメージ通りのあたり方だったのでフッキングもしっかり入れることができ、何回か海藻に突っ込まれましたが、引っ張り出して無事キャッチすることができました。
第2回目のテストを終えた時点では、100均ジグのアクションで最も釣果実績のある『リフト&フリーフォール』が出来るようなナイロンラインは見つけられていません。
それどころか、フロロカーボンラインよりラインを海中に残すリスクや、足場の悪い場所で切る際に釣り人に危険が生じるデメリットの方を感じています。
ラインそれぞれメリット・デメリットを整理しつつ、使い分けるという考え方に切り替えた方が、釣りを安全に楽しむという面と環境負荷の面からの全体最適となるかもしれないと考えるようになっています…続く。
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