飛距離は正義?
「飛距離は正義」。
数年前にこれを聞いたとき、そういう考え方もあるのかと驚きました。
調べてみると結構前からある考え方で、その考えを持つ人は意外と多いと感じた記憶があります。
そして、2023年。
ある動画で釣り具メーカーの人が同じ発言をして、びっくりしました。
確かにこのメーカーは、より飛距離を出すための商品開発に取り組んでいるため、矛盾はありません。
しかし、なぜ飛距離は正義なのか。
説明はなかったので、メーカーがそういう信念を持っているのか、釣り人にそのニーズがあるのかどちらかわかりませんが、とにかく、飛距離は正義なんだそうです。
100均ジグを使う私個人の意見としては、誤解を生む表現だと感じました。
というのも、説明なしでキャッチ―な言葉を使うと、釣り人をミスリードすることがあるからです。
どういうことかというと、「飛距離は正義」は常に成り立つものではありません。
遠くにポイントがあるとき、長くルアーを見せなければならないときなどは、飛距離が重要になると思います。
しかし、飛距離を重視することにより生まれるデメリットもあるので、一概には飛距離は正義とは言えないはずです。
例えば、ポイントが近くにあるとき、遠投してから近場のポイントまで引いてくる時間が無駄になります。
実例として、私が良く行く釣り場に足元にテトラポッドや磯で駆け上がりが出来ていて、遠くでは魚はジグにアタックせず、足元までジグが来て初めてアタックしてくる釣り場があります。
この場合、魚にジグを見つけてもらえさえすればよいので、わざわざ長い距離を泳がせる意味はありません。
その分見切られるリスクも高まります。
また、遠くまで投げるとポイントまで引いてくる時間がかかりますので、釣行時間が削られます。
時合のときやナブラが出ているときは、数秒のロスで釣果が変わってしまいます。
さらに、遠投は通常時より力を入れてキャストするため、ミスキャストの可能性が高まり、ライントラブルのリスクも高まります。
そのほかにも、遠くで根掛かりをすればより長いラインを失う可能性が高まりますし、ラインの劣化も早まります。
数釣りをするときは、遠くで掛けると手返しが悪くなります。
また、遠くになればなるほど手元に伝わる感度は悪くなりますので、アタリをとったり、地形変化を感じたりすることの難易度が高くなります。
このように、飛距離を稼ぐことによるデメリットは多く存在しますので、出来るなら近場で釣った方がメリットは高いと思います。
場合によっては、遠くへ投げれば釣れる可能性が上がるどころか、下がることも十分あるのです。
しかし、近場は多くの釣り人が攻めているため、遠くの竿抜けポイントが狙い目となることがあることはもちろんあると思います。
最初の話に戻りますが、
遠くに投げることの方がメリットがあるとき限り飛距離は正義になるという当然の考え方が忘れられ、ショアジギングはとにかく遠くへ投げれば良いという結論だけが一人歩きしているように感じます。
ロッドは長い方が良いとか、ルアーは小さい方が良いとか、ラインは細い方が良いといったことも同じです。
なぜそうなのか、それが成立する条件は何なのか、と考えてみることが重要です。
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