ダイソー『メタルジグマイクロ』
ダイソーから発売されているメタルジグマイクロ。
ウエイトは3gと5gの2種類で、カラーはイワシ、レッド、シルバーの3種類。
5月初めに発売されたようですが、人気が高く、品薄状態が続いています。
パッケージは簡素化されていてゴミが出ないのでGOODですね。
それでは、従来品である『メタルジグ』と比較しながら細かい点を見ていきます。
ウエイト
ウエイトは3gと5gの2種類。
従来のジグ(ジグベイト(廃番)、ジグロック、メタルジグ)は18g、28g、40gの3パターンなので、非常に軽いジグです。
従来のジグと同じタックルでは扱いづらいので、ライトタックル用のロッド、リール、ラインにした方が良いでしょう。
カラー
カラーはイワシ、シルバー、レッドの3種類。
従来品から考えても、3種類のカラーを用意するのがセオリーのようです。
ボディ
メタルジグマイクロの材質は鉛合金、メタルジグは鉛・アンチモン。
メタルジグマイクロは鉛以外の材質は不明ですが、特に気にしなくて良いでしょう。
ただし、塗装はコンクリートや岩にあたると剥げてしまうので、気になる方は注意して扱いましょう。
フック
メタルジグマイクロのフックは炭素鋼(Carbon steel:カーボンスチール)とあります。
一方、メタルジグはハイカーボンスチールとなっています。
メタルジグマイクロのフックは黒色のメッキがかかっていますが、メタルジグのフックより錆に弱いかもしれません。
メタルジグでフックの錆の実験を行いましたが、錆はすぐに発生してしまいました。
リングの材質は書いてありませんが、メタルジグのリングは錆に弱かったので、出来ればフックとリングは交換した方が良いでしょう。
使用方法
使用方法(アクション)について、パッケージ裏面に次のような記載があります。
メタルジグマイクロを遠投し、ゆっくりとリールを巻いたり、竿を上下させたりして魚を誘います。
釣り慣れている人ならば何を言いたいかわかりますが、全くの初心者であればわからないでしょう。
ゆっくりとリールを巻くにも、使っている道具や水深、ルアーが釣り人からどのくらい離れているかによってやり方は全く異なります。
竿を上下させたりというのも同様です。
自転車の乗り方やボールの投げ方と同じで、動きを短い文章で説明するのは難しいですよね。
この使用方法に少し追加して説明すると、
①ゆっくりとリールを巻く=ただ巻き⇒低層を狙うときはときどきルアーがボトムに当たることを感じる程度にゆっくりリールを巻く。着水後から巻き始めるまでの時間を早くしたり、巻くスピードを速くすることにより、表層や中層を引くことができる。
②竿を上下させたり⇒たとえばリフト&フォールというアクションがあり、竿先を30㎝くらい跳ね上げ、リール1回転の繰り返し。跳ね上げる回数は2回がおすすめ。
ちなみに、自分ならこの使用方法にシェイクのアクションを追加して探ります。
竿先を小刻みに震わせながらゆっくりとリールを巻く方法です。
ただ巻きにシェイクを加えるという考え方でも良いです。
かつて、ただ巻きでは乗りきれなかった小型のソイを大爆釣した方法です。
また、スプーンを使ったヤマメ釣りでも効果抜群です。
「巻きながらシェイク」はかなりおすすめ。
ターゲット:釣れる魚
ターゲットはサバ、カマス、メッキ、メバル、アジ、カサゴと記載があります。
もちろん、その他の魚も釣ることができます。
ソイ、ハタ、アイナメ、タイ、ホッケ、ニシンなどの海水魚のほかにトラウト等の淡水魚も狙えるでしょう。
しかし、3gと5gのウエイトでは、細いライン、ライトなタックルを合わせることになるので、メインターゲットは20㎝前後の魚で、大きくても40㎝程度になるのではないかと思います。
大型の魚を狙うのであれば、ジグロックやメタルジグの方が良いでしょう。
その他
ここからは毛色の違った話になります。
発注・在庫管理
2021年5月現在、メタルジグマイクロは品薄状態が続いてるようです。
メタルジグマイクロに限らず、需要に対する供給が間に合っていません。
また、取り扱いしていない店舗もあるので、需給のミスマッチが生じています。
そのため、定価の1.5倍から2倍で転売されている状況にあります。
これは購入に要するガソリン代や時間を考慮するならば合理的な価格だと考えることもできます。
しかし、供給不足は企業に対する不満となり、この不満をSNS等で簡単に発信し、不特定多数が見ることができるご時世ですので、企業イメージの低下が気になります。
上場すると株主や金融機関からの特に厳しい目で見られることになりますので、いちダイソーユーザーとしては心配です。
その点、セリアは既に上場していますし、データ分析が得意で高い利益率を確保していると言われていますので、受発注量・在庫管理の戦いは上手かもしれません。
競合店との闘い
少し前までは釣り具を扱う100円ショップといえばダイソー一択でしたが、最近セリアも本格的に参入してきました。
たとえば、パッケージとカラーこそ異なりますが、セリアはダイソーと同一商品を発売しています。
今後こうした戦いは続くことが予想されます。
消費者にとってはありがたいことですが、潰し合いにならないよう、うまくすみ分けて欲しいとも思います。
利益率
私がショアジギングで使うフックは、すべて自分で材料を購入して組み上げて作っています。
材料選定や制作方法の検討にあたって原価計算をするのですが、原価のうち最も高いのは材料費ではなく人件費です。
パッケージを見ると商品製造から販売に至るまでには複数の国が関わっていて、中国なのかブラジルなのかそれとも他の国なのかわかりませんが、関係国の人件費はあがる一方でしょう。
人件費の上昇による利益調整が供給不足の一因となっているのであれば、欲しいときに手に入らない消費者は不満を募らせ、次第に離れていくでしょう。
釣りには旬があり、年中釣れる魚など数少ないのです。
必要な時に商品が手に入るということが大事なのです。
メタルジグマイクロであれば、9月には在庫を潤沢に確保しておいて欲しいですね。
ポジション
私にとっては、この商品のポジションが微妙です。
言い換えると、代替品があるのです。
メタルジグマイクロじゃなきゃだめというシチュエーションは限られています。
スプーンやアジやメバル用のワームの方が安くて種類も豊富なのです。
そう考えると、メタルジグマイクロを今後継続して購入する人は限定されるのではないでしょうか。
現在購入している人を想定してみると、
・小さいメタルジグを愛用していて、より安いものを探している人⇒商品性能によるがリピート期待
・ワームの釣りを知らない人⇒初心者層で新規顧客獲得は期待できるが、ワームの釣りを知ると流れるためリピート率小
・ハードルアーで釣りたい人⇒マニア層で市場規模小だがリピート期待あり
・話題性のあったので買ってみた人⇒新規顧客獲得は期待できるがリピート期待小
以前はジグよりもワームから入る人が圧倒的に多かったですが、最近は業界がジグをかなり推しているので追い風が吹いていることは確かです。
メタルジグマイクロがロングヒットになるかウォッチしていきたいですね。
国際戦略
海外の釣り事情はわからないので精度の低い推測ですが、このパッケージには日本語の他に英語とポルトガル語らしき文字があります。
これは海外販売を踏まえてなのか輸出入の手続きの関係なのかわかりませんが、もし海外で販売しているとしたらどのくらいの市場があるのでしょう。
海外でも日本のようにライトタックルで5g以下のルアーを投げて釣りを楽しむ文化があるのでしょうか。
海外の販売動向が日本での販売に影響がないこと祈っています。
日本での供給は日本国内のニーズに基づいて判断していただきたいですね。
マーケティングアドバイザーが必要
100円ショップは商品の入れ替わりが激しい業界と言われているので、前述の利益率も大事ですが利益額も大事でしょう。
販売数量を確保するには、商品の選定、パッケージ、見せ方も重要な要素です。
今回のメタルジグマイクロはある人気商品のパクりと入れているようですが、それはある意味アリでしょう。
人気商品に取って替わる商品を投入することは、真似された側にとってはたまったものではありませんが、消費者にとってはプラスです。
しかし、気になるところもあります。
ダイソーは「よく釣れる釣具シリーズ」を増やしてきていますが、順次移行中のようで、まだすべての釣り具がこのシリーズに統一されているわけではません。
こうしたブランディングの面では、セリアが先行しています。
また、長く釣りをしている人にとってはやや違和感のある記載があります。
今回のメタルジグマイクロでも、「宙層」は聞いたことがないと指摘されています。
最近のルアーマンは、「中層」です。
「ライトゲーム」はGOODです。
釣り人を釣る「キーワード」を使えば、初心者だけでなくベテラン顧客も獲得できるでしょう。
ついでに言うと、今回のメタルジグマイクロを3つセットで売るという案はなかったのでしょうか。
意図的に1つだけ買うという顧客の方が少ないと思います。
原価の面からみても有利ですし、管理の面でも楽だと思うのですが…。
新商品投入の際には、バラ売りとともにセットでの投入をご検討ください。
そう考えると、釣り業界に詳しいアドバイザーが(もっと)いた方が良いのではないでしょうか。
ダイソー商品に関心があり、新商品をいち早く取り上げてレビューしてくれる人はたくさんいますよ。
勝手な意見を述べましたが、これからもいちヘビーユーザーとして応援しています。
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