見える魚は釣れないのか

釣れる思考法

「見える魚は釣れない」という言葉があります。

意味はそのまま、見えている魚は釣れないよ というものだと考えて良いでしょう。

確かに、見えている魚は釣れにくいという実感はありますが、見えている魚を釣ったことがある人もたくさんいるはずです。

結局、見える魚は釣れないの?釣れるの?どちらなのでしょうか。

この件についてネットでざっと調べてみると、魚が見えるということは魚からも人間が見えているので警戒されて釣れない といった意見が多数ありました。

しかし、これでは見えている魚が釣れる理由は説明できません。

そして多くの場合、見える魚の釣れる釣れないは魚種による、状況によるといった説明が続きますが、ではどの魚種であれば釣れて、どのような状況であれば釣れるのかははっきりしません。

永遠のテーマのようです。

が、今回はこのテーマについて切り込みます。

私はこの問題を確率的な考えで整理していますので、参考になるかわかりませんが紹介させていただきます。

この件を考える上で、便宜上2つの状況を想定します。

まず一つ目の状況ですが、

釣り場に着くと、海中が見える足元3メートル先までの範囲に、今回のターゲットであるブリが1匹います。

早速100均のジグを投げ込んでみますが反応がありません。

その日はそのブリを相手に1日中粘りましたが、結局釣れませんでした。

その日は諦めて帰りましたが、翌日に同じ場所へ行くと、また足元にブリが1匹います。

その日も1日中狙ってみましたが、やはり釣れませんでした。

なんとか釣ってやろうとその翌日も、そのまた翌日も通います。

足元には1匹のブリがいるのですが、なかなか釣れません。

そうして毎日通い続け、足元ばかりを狙って、20日目にしてようやくブリが1匹釣れました。

20日チャレンジし続けてようやく1匹です。

確率に直すと1日÷20日=5%です。

5%の確率をもって、「見える魚は釣れない」と考えてよいか…。

ここは結論を出さず、次の状況を見てみましょう。


足元のブリを釣った翌日、同じ釣り場に着いてみると、足元にまた1匹のブリが見えます。

釣るのに20日間もかかったのだから見える魚を狙うのはもうコリゴリと、その日はしっかり前へキャストして釣りをすることにしました。

ジグの飛距離は60メートル。

今回は見えるのに釣れないというストレスはありません。

そして、1日中その場から動かずキャストを続けた結果、ブリを1匹釣ることが出来ました。

翌日、同じ釣り場に向かうとまた足元にブリが1匹見えます。

でも、前日キャストして釣っているので、この日もキャストして見えない魚を狙うことにしました。

その日もその場から動かず1日中キャストした結果、ブリを1匹釣ることが出来ました。

さて、2つの状況がイメージできたでしょうか。

整理すると、1つは、海中が見える範囲の足元3メートル先までを20日間狙い続けて、釣果はブリ1匹。

もう一つの状況は、1日中同じ場所から60メートルキャストし続けて、釣果は1日あたりブリ1匹。

ここから、前者は見える魚を狙った釣り、後者は見えない魚を狙った釣りとみなして考えていきます。


ここで、今回のキーワードである確率的な思考を使って考えてみましょう。

まず、足元を狙った状況では、3メートル先までを20日間ずっと狙っていますので、掛け算をすると狙った範囲は60(単位はメートル・日間)になります。

これは、20日間を累計して60メートル分を狙った結果、ブリが1匹釣れたことになります。

これと同じように、キャストした時の状況も計算してみましょう。

60メートルキャストしていますので、1日のうちに狙った範囲は掛け算をして60(単位はメートル・日間で同じ)となります。

これは、60メートル分を狙った結果、ブリを1匹釣れたことになります。

前者と後者を比較してみると、全く同じ結果になるのです。

補足すると、海中が見える目の前3メートルの範囲内にはブリが1匹いましたが、この魚の密度が釣り場一体で同じであったとすると、60メートルキャストしたときには、海中が見えていないだけで、ルアーを引っ張ってくる間に20匹のブリがいたことになります。

つまり、1日中、60メートルキャストして釣りをしていた後者の状況では、実は19匹のブリは100均のジグに反応していなかったということも考えられるのです。

これを確率で考えると、1匹/20匹=5%です。

前者の計算では単位が日、後者の場合は匹ですが、確率的でみると5%と同じになります。

つまり、今回想定した2つの状況では、釣果は、魚が見える・見えないに関係がなく、どれだけの数のブリにアプローチできたかということに影響されていたのです。

だから、釣り場に魚がいる密度が一定で、ルアーに反応する魚の割合が場所によらず一定と考えると、魚が見える・見えないによって釣れる確率は変わらなくても、「見える魚は釣れない」と実感(錯覚)することがありうるのです。

ちょっとややこしいですが、移動したりして1日のうちに見えるブリ20匹を狙えっていれば、1匹釣れていたかもしれません。

厳密に考えると条件設定が甘く、たとえば、1mの範囲を狙うのにかけた時間の概念は考慮していません。

が、しかしです。

「見える魚は釣れない(反応しない)」と決めつけていてはチャンスを逃しているかもしれません。

そして、「見えていない魚でも、反応しない魚は多くいる」と考えてみましょう。

すると、「見える魚も狙ってみる」、「見えない魚のうち、ルアーに反応する魚を探す」という考えを持つことが出来るのです。

これまでとは違った考えを持つことにより行動が変われば、更なる釣果UPにつながるのではないでしょうか。

今回のように、釣りが上手な人はきっといろんなことに気づいているんだと思います。

早くそうなりたいものです。

また、先人たちが気づいた釣りのノウハウはたくさんありますが、今回のような格言を受け入れつつも、ちょっと立ち止まって考えてみると、新しい発見があるかもしれません。

今回のテーマ 「見える魚は釣れない」。

見える魚は釣れないが、絶対ではなく、釣れることもあるという矛盾。

今回紹介した、見える魚も見えない魚も釣れる確率は同じで、釣果に差が出るのはアプローチできる魚の絶対数が違うことが原因という考え方は、矛盾に対する一つの回答になるのではないでしょうか。

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Posted by KEN(運営者)